Poem

「楠は見ていた」

楠はみていた楠はみていた。 何年も。 何十年も。この道を通るひとたちを。雨の降る日も。 雪の舞う朝も。 風の泣く夜も。 人々の別れがあった。 人々の出逢いもあった。ときには涙も。 ときには優しいほほえみも。ひととひととが触れあうぬくもりもあった。…

新しい世界。

今は全てが灰色の世界。一度色とりどりの世界をかいま見たなら、 その素晴らしさを、恍惚感を、目指さずにはいられない。 今は全てが灰色の世界。街の灯も、木々も、紅葉の色とりどりの散る葉も、 今の自分にはさほどの意味も感じることはできない。 余裕が…

音楽

音楽が怖い。 怖い音楽がある。独りでは聴けない。独りでは聴けない音楽を、聴けるようになりたい。 怖い。淋しいよりも、 怖い。だからいつか、安心して、音楽を聴けるように、なれたらいいな

願い

嬉しさを忘れてしまった心。 嬉しさを忘れてしまった心。 僕の心は、もっと純粋だったはずだった。 たとえそれが醜くても、 人の道を外れていたとしても、 僕の心は、 僕のその願いは、 綺麗で、純粋なものだった。狂おしさを伴った願いは叶わず、 全てを忘…

裏切りの傷を負う人へ

裏切られた傷が 君を孤独にして 君の瞳を閉ざす心の扉も閉ざされて 心が弱くなってしまったんだよねもう 傷つきたくないって 怯えながら薔薇の花のように 心の棘だけしか 君を守ってくれなくて淋しくて 涙も流せずに たったひとり 心で泣いていたんだろう?…

夢。

夢の続きは、現実。 負けてもいいのかもしれない。 でも、前へ。 前へ。 そこに何かがあるのだろう。何かがあるかぎり、 前へ。 前へ。進もう。 進もうとしよう。そう、 声を殺して、俺は叫ぶ。 そしてここに、ここに、独りいる。 <<昇華ということ>>