あなたへの詩

夏休みの押し花のように


懐かしい本のページには


忘れてしまった優しい気持ちが


きっと残っているだろう。

誰も俺のことなど覚えちゃいない。

俺が「覚えている」「想っている」などと言ったとしても、

気にも留められることはないだろう。

悲しかった。

ただ悲しかった。

それをわかってもらおうとは想わない。

ここで独り言のように独白する場所がある。それで十分だ。

それ以上は、自分を貶めるだけになる。



あなたはあなたの道をどんどん進んでいく。

たくさんのひとと出逢い、たくさんの経験をし、たくさんの恋愛をしていく。

大きな大きな程度の差こそあれ、それは俺も同じだろう。



だけど俺は大切だった日のことを決して忘れない。

懐かしい本のページをめくったとき、初めてそれを読んだときの

まっさらな気持ちを思い出すように、俺の中では、あのころのまっさらな気持ちが

今でもそのまま残っている。


それが、俺の宝物だ。

あなたが俺だけのために残してくれた、

大切な宝物だ。