「タカッタ」

誰も、
誰もあんたのことを、
許しちゃくれなかった。

何もできなかった。
生きていくことも。
誰も許しちゃ、くれなかった。

あんたは、成長しようと、成長しようと、
ずっと努力していた。

それが成長とは意味が違っても、
誰かのためにか、自分のためにか、
変わろうと、変わろうと、必死だった。


「タカッタ」、を叫んでるように、俺には聞こえた。
心を、知ってもらいたがってるように見えた。


俺はあんたが、
身にこびり付いたまま剥がれない嘘を少しずつ、
ゆっくりと剥がしていける場所にたどり着けることを、
願わないでもない。


それが叶うのなら、
俺が言うことじゃないけれど、

きっと、もう、傷つけなくていい。
自分じゃない誰かも。
そして、
自分のことも。
もう、傷つけなくていい。


ずっと、想っていたなら。

ずっと、許されたかったなら。



この「あんた」は特定の誰でもない。少なくともメールしたりしたことのある相手じゃない。