部屋を、まとめていくうちに。

今まで住んでいた部屋をまとめて、
自分の足跡をひとつひとつ、黒いビニール袋に、
ひとつ、またひとつ、放り込んでいくたびに、
こんなにも不安で、
こんなにも悲しくて、
なにか、とりかえしがつかないような………………
そんな怖さが、怖い……

たくさんのものがもうだいぶ空けていなかった引き出しから
たくさんの約束や想い出が手紙や写真にかたちをかえて、
そこにしまわれていて………………

ああ――、
こんなにも、俺は、俺は、俺は――


いろんなものを、蔑ろに、してきたのかって思うと………。
そしてその約束とかが、まだ生きてるのか、な。


昔行ったな……、箱根。

とか、この写真……、とか……。

いっぱいの人と関われてきたんだって、思う。


怖いけど、怖くない。たぶん。

関わることってそういうものでしかないのかもしれない。

変なことを書いたけれど、それが今考えていることのテーマのひとつであったり。


足跡を消していこう。ひとつ、残らず。
いや、最後には、何もない部屋にパンを残していこう。
暗い部屋の片隅に、一口だけかじられた、小さなパンを、ね。